私は現在、某メガバンクで勤務しており、株式や投資信託、国債など多くの金融商品を取り扱っています。
従来、投資に自信のない投資初心者の方には長期積立のインデックス投資をおすすめしていますが、今回は現役メガバンク銀行員の私が投資上級者向けに積立投資先としておすすめしたい投資信託をご紹介し、そのメリットやリスクについて解説したいと思います。
*本記事は投資信託について基本的な知識がある方を対象としています。
- Free レバレッジ NASDAQ100とは?
- NASDAQレバレッジのおすすめポイント
- NASDAQレバレッジの注意点
- それでもおすすめしたい理由(積立投資なら断然有り)
- 積立シュミレーション
- まとめ
Free レバレッジ NASDAQ100とは?
まず簡単にiFree レバレッジ NASDAQ100についてご紹介すると、運用会社は大和アセットマネジメントで、設定日は2018年10月19日という比較的新しい投資信託商品となります。購入時手数料はありませんが、信託報酬は0.99%と他の商品と比較して高額な商品です。
投資をすでにしたことのあるベテランの方は「レバレッジ」と聞くとすぐに分かると思いますが、レバレッジとは「てこの原理」を利用する、ということです。
投資の世界では「少ない資金で大きな金額の取引をする」ことをレバレッジと呼びます。
このファンドではNASDAQ100という指数に普通に投資するのではなくて、証拠金というものを納めて、証拠金より大きな金額を動かすことになります。そのため、NASDAQ指数に投資するよりも価格が大きくぶれることになります。
運用の特徴としては日々の基準価額の値動きがNASDAQ100指数の動きの2倍程度になることを目指しています。NASDAQ100とは米ナスダック市場上場の時価総額の大きい代表的な100社の株式で構成されています。NASDAQ100指数の値動きの2倍ですから、NASDAQ100が10%上昇すれば、20%上昇し、逆にNASDAQ100が10%下落したら、下落幅は20%となります。
NASDAQレバレッジのおすすめポイント
おすすめポイントは通常のインデックス商品と比較にならない「高いリターン」です。
NASDAQ100はいわゆるM-GAFA(Microsoft,Google,Amazon,Facebook,Apple)などメガIT企業が主な銘柄であり、これらは現在の世界経済の牽引者たる超巨大企業です。成長著しいのが特徴で、NASDAQ100指数は米ドルベースで過去35年間で約76倍になっており、これはナスダック総合指数の約34倍、NYダウの約20倍、S&P500の約17倍、日経平均株価の約2倍を大きく上回っています。
この値動きのさらに2倍であるのでリターンはさらに大きくなります。つまり、リターンだけを見れば資産を増やすのにかなり効果的な投資商品であることが分かります。この点については後程シュミレーションをして、お示ししたいと思います。
↓NASDAQ100指数の代表的な銘柄
(出典:https://www.daiwa-am.co.jp/ifree_series/leverage/nasdaq100.html)
NASDAQレバレッジの注意点
レバレッジをかけるということはリターンが大きい分、リスクも大きくなることを意味します。投資の世界ではリスクを標準偏差で表します。標準偏差とは基準価格の”ブレ”のことですが、当ファンドが設定された2018年10月から2020年5月時点までで当投資信託の標準偏差は44.1%となっており、これはNASDAQ100指数の21.7%、ナスダック総合指数の22.8%を大きく上回ります。ブレが44.1%ということは2年間で上にも44%、下にも44%変動した、ということになります。したがって、暴落時に含み損を抱えても、投資を続ける高いリスク耐性が必要になるでしょう。
また、レバレッジ商品には「逓減性」があることを理解しておく必要があります。
これは端的に言うと「毎日の値動きが2倍になっても、保有期間が2日以上になれば、その値動きも2倍になるわけではない」ということです。
例えば、基準日を100とした場合に翌日にNASDAQ100指数が10%下落し、翌々日に10%上昇した場合には翌日にはレバレッジなしが90(-10)に対して、レバレッジ有りが80(-20)、翌々日にはレバレッジなしが99(-1)に対して、レバレッジ有りが96(-4)となります。
つまり、レバレッジ商品は一旦下落してから元の水準まで回復するのに元となる指数より時間がかかる、ということが分かります。
↓上昇時には強いが、下落時には急激に下がる
(出典:https://www.daiwa-am.co.jp/ifree_series/leverage/nasdaq100.html)
(出典:https://www.daiwa-am.co.jp/ifree_series/leverage/nasdaq100.html)
それでもおすすめしたい理由(積立投資なら断然有り)
これだけのリスクがあるにもかかわらず、私が当投資信託をおすすめしたいのは、コロナショックを通じて当投資信託の強さが証明されたからです。
コロナショックの影響で実体経済が混乱し、株式市場にも大きな影響がありました。世界中の主要銘柄が同時に下落するというリーマンショックを思い出すような様相を呈したのです。
ここで、当投資信託商品とNASDAQ100インデックス、S&P500を比較してみましょう。2019年12月末を100とした場合、2020年3月24日時点でNASDAQ100インデックスが80.6、S&P500が72.2まで下落したのに対して、当投資信託(NASDAQレバレッジ)は60.5まで下落しました。
しかし、それでも6月9日時点ではNASDAQ100インデックスが111.2、S&P500が99.1まで回復したのに対して、当投資信託(NASDAQレバレッジ)は11.8まで上昇するという圧倒的強さを見せました。
つまり、一括で投資した場合には資産が約半分になってしまうこともあるわけですが、積み立て投資をすればリスクを抑えながら、大きなリターンを狙うことが出来ます。
積立シュミレーション
仮に2000年5月から2020年5月までの20年間に毎月1万円ずつ合計240万円(1万円×12か月×20年)を積み立て投資した場合のリターンについて、S&P500とTOPIX(東証株価指数)と比較してみましょう。
結論、約20年間でTOPIXが321万円(1.3倍)、S&P500が515万円(2.1倍)まで増えたのに対して、当投資信託に投資した場合には3,040万円(12.6倍)まで上昇しています。
積立投資というのはドルコスト平均法で大きく下がった時にはその分多くの株式を購入できるので、回復した時には回復スピードが早いということになります。2000年代のITバブル崩壊やリーマンショックのような歴史的な暴落が発生しても、積立投資ならばリスクを抑えながらの投資が可能になります。
まとめ
今回ご紹介したiFree レバレッジ NASDAQ100はレバレッジ商品ですので、私が個人のお客様にご紹介する際にはある程度投資経験を積まれた投資上級者の方への案内にとどめています。ある意味投資家にとってはリスクが大きいからです。しかし、もしご購入に興味がある方であれば、やはり積立投資をするのが望ましいのではないかと思います。リスクを十分に理解したうえで積立金額の一部を振り分けるという使い方がおすすめです。
iFree レバレッジ NASDAQ100は夢がある商品です。NASDAQ100は巨大ITンチャー企業によって構成されており、将来的にITテクノロジーが大きく進歩していく過程を享受したいという方はこのファンドを積立投資するのが一考に値するのではないかと思いご紹介させて頂きました。